さて、ここ近年とても強力な
ミックスプラグインや録音ツールを
出し続けているiZotopeですが
公式サイトにてブログを掲載しています。
このブログ、ミックスやプロダクション、
マスタリングに関連する事等、
音楽製作者向けのとても有用な情報が
数多く掲載されています。
内容は英語となりますが、
Google Chromeや、翻訳プラグインを
持つブラウザを所持しているのであれば
是非読んでみてください。
さて、その中でも興味のある内容を
勝手に抜粋、解釈という事で
書かせて頂きたく存じます。
原文:
Tips for Producing and Mixing with Headphones
『ヘッドホンでの製作/ミックスのヒント』
筆者:
iZotope Contributor / Daniel Dixon
以下、文章をこのように表現します。
記号なし(黒文字) … 記事の要約
記号なし(青文字) … 個人意見や訳注
“○○” … 原文からの引用
『 』… 翻訳
序章
Music is shaped by the space it is made in. This is why audio professionals work in treated rooms with flat monitoring.
『音楽はそれが作られた空間によって形作られる。これがオーディオのプロフェッショナル達がフラットなモニタリングが可能な音響部屋で仕事をする理由です』
序章では、ヘッドホンを利用して
制作からミックスまでの全てを混同して
するべきではないとしながらも
スペース問題、金銭問題、隣人問題によって
それが難しい人々が大勢いる事を理解し、
このブログを記しています。
ヘッドホン選び
ここではミックス作業を行うにあたっての
最適なヘッドホン=モニターヘッドホンの
定義を示しています。すなわち…
フラット、ナチュラルな周波数特性を持つ
ヘッドホンを挙げています。
リストはこのようになっています。
・Beyerdynamic DT 770 Pro Studio Headphones
・Focal Spirit Professional Headphones
※AKG、ATH、Beyerは2万~3万程度、
Focal、Sennheiserはその数倍のお値段。
他にも私のブログで一部、
モニターヘッドホンについて
書いたことがあります。⇒こちら
とにかくここで選ぶべきヘッドホンは
周波数特性のフラットなものです。
一般的なリスニングヘッドホンでは
聴きやすくするための低音域ブーストが
かかっている傾向にあります。
それらは避けるべき、としています。
アメリカのレコーディング・エンジニアの
Jeff Ellisはリスナーの再生環境を想定し、
次善最適のモニター環境とヘッドホンも
用いているとの事。これには耳を鍛えて
問題特定能力を上げる事を
目的としているとの事。
ヘッドホンの癖
耳を健康に保ち、耳を信頼する事が
音質を適切に評価し、ミックスを最適に行う
事において重要だと記されています。
※健康でないとは耳が疲労し、通常でない
『興奮状態』(“agitated”)にある事?
そしてヘッドホン、特に…
密閉型タイプ(“closed back variety”)の
ヘッドホンによるモニターはこの状態に
陥りやすいとの事。
例えば悪環境の部屋でのモニターで
音を出せばローエンドの周波数が
家具やら体に振動を与えてます。
(※それにより異常を覚えるでしょう)
しかしヘッドホンにはそのような状況は
起きないので、傾向として
大きな音で聴いてしまう。
これが上記の、悪習慣を生み出すきっかけに
なってしまうと記されています。
休憩を取ったり、適切な音量レベルを
見つけて耳の疲労を避けながら作業をこなし、
時に楽しみたいときはミックスなんて
忘れて、爆音で楽しめ(笑)
皆爆音が大好きでしょう?
…との事。
Tonal Balance Control機能
Generally speaking, tonal balance refers to an even distribution of frequencies in a recording or mix, from low to high-end.
『一般的に言えば音調バランスとは、録音またはミックスの、高域~低域の周波数の均等配分の事を指します』
ここではiZotopeが発売している、
Ozone 8 Advancedの機能、
理想的な音調バランスに整えて
マスタリングをより良くする方法を
記しています。
※外部サイトにはなりますが
本機能のレビュー記事をご紹介差し上げたく。
DTM Guide様 Tonal Balance Control
話を戻します。iZotopeの記事の中では
ヘッドホンで作った曲のサンプルを挙げ、
この機能を使って改善点を視覚化する様を
表示しています。
左⇒右へ行くにつれて、周波数低域⇒高域と表示。
そして白線の位置が今鳴っている
実際のオーディオの周波数特性であり、
深緑の範囲が事前にプリセットにより
設定された、ソフトウェアが提案する
理想的なオーディオの特性となります。
画面右側を見てもらうと、白線が深緑の範囲の
かなり上に来ている事がわかります。
これにより、8K~14Kの音域が
理想の特性よりもかなり目立っている事が
わかります。高域に対してフィルタを
かける必要があると瞬時にわかるわけです。
選択されているプリセットはBass Heavyという
カテゴリです。それを基準としたとき、
このオーディオに関してはLow Mid、
つまり低域がやや足りないところも
視覚的に確認でき、すぐに解決の糸口を
見つけることが出来るでしょう。
このようにTonal Balance機能を使う事で
理想的なマスタリングとされる
周波数特性を視覚で理解させ、
悪環境のモニターを持ちながらも
音の改善のチャンスを音楽製作者に
与える、としています。
実際のオーディオも原文記事に載っています。
是非確認してみてください。
もう一度貼ります。
Tips for Producing and Mixing with Headphones
ステレオイメージ
ヘッドホンでのイメージは
モニター環境のそれとは大きく異なります。
特に中心に音が行ってしまう傾向があるようです。
※…これには私も経験がありました。
私はヘッドホンを主として、時に
スピーカーによる確認をしているのですが
やはり傾向的に音が中心に行きがち…
ヘッドホンによるミックスでは
中心からの微妙な定位ずれをきちんと
調整する事が出来ず、しかしながら
大きな定位の調整は外耳道から
直接わずかな音が入ってくるような、
そんな奇妙な不快感を覚えてしまう事から
傾向的にそうなる、との事。
※これに気づくには知人に相談するか、
時には定位の設定を目的として、
ステレオスピーカーのような外部機器で聴くのも
大事かも?と考えます。
そして、その後の音質のクリアリングについては
ヘッドホンで行うという事が最適かもしれません。
結論
序章から改めての主張となりますが、
フラット特性のヘッドホンだけでは
最適なモニターの代わりとはならず、
理想としてはホーム・モニター・ルームを
作る方がより理想に近づくとしています。
この理想的モニター・ルームについては
他の記事へのリンクがあったので
絵だけでも見てみてください。
モニタールームのレイアウトや
理想のスピーカーが書かれています。
こちらをどうぞ。
要約後記
…Tonal Balance、良さそうですね。
Ozone 8 Advancedと
Neutron 2 Advancedに
付いている機能です。
これらは上記2つを揃えたセット…
または、
ノイズ除去やボーカル用プラグインの
数々を揃えたiZotopeの集大成…
どちらかで体験可能です。
ご興味があれば是非。
以上、拙い要約ではありましたが
ご紹介をさせて頂きました。